No.004 レールガン


今回の実験の注意点(必ず読んでください)

今回の実験には300V以上の高電圧を使います。

もし、実際に実験をする場合は感電に注意してください。下手すると死亡することがあります
死亡に至らなくても怪我をすることがあります。細心の注意を払って製作・実験を行ってください。
また、発射時に大きな音と強い光が発生するので、こちらにも注意してください。
それと、参考にしようとした時点で「このサイトについて」の実験に関する部分を読んだ物とします。

なお、この記事を参考に実験をしてどのような結果になろうと、管理人 よしひさ はいかなる場合であっても責任を負いません。この記事を参考に製作・実験をする場合は自己責任でお願いします

人に撃ったり、兵器に流用したりしようと考えている人は、今すぐお帰りください。

「そもそも銃刀法違反なんじゃね?」という方もいると思うので、一応説明しておきます。
銃砲刀剣類所持等取締法第二条で、銃とは「金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃」と定義されています。 今回のレールガンはプラスチック電気で発射させるため問題はありません。 そもそも、感電の危険性があるため手に持って発射ができず、充電・再装填にも時間がかかりすぎるため実用性はありません。
ただし、人に撃ったり、他人の物を破壊したりした場合は捕まります。


研究動機・目標

レールガンを作るのには「大量のコンデンサ」と「お金」が必要です。

お金については、他の作っている皆様のサイトを見ると最低でも1万円以上はかかっているように思います。
「でも、可能な限り無駄を省くと案外安いんじゃね?」
ということで計算してみたら数千円で作れそうだという結論が出ました。

レールガンの何が高いかといわれるとコンデンサです。
そこで今回は使い捨てカメラのコンデンサを流用しまくることにしました。

しかし、いくら集めても所詮は使い捨てカメラ。威力の限界はあるでしょう。
だから今回の目標は「レールガンとして実際に弾を発射させる」にしました。
「レールガンなんだからアルミ缶×3個貫通ぐらいは普通でしょ~」とか言わないでください。
値段>威力で今回は製作します。



原理

前置きが長くなってしまいましたが、原理の説明です。

レールガンとは、ローレンツ力を用いて物体を飛ばす装置です。

ローレンツ力が何かわかればレールガンの原理の大半を理解することができます。
だから、まずローレンツ力の説明をします。

電流が図のように流れると、のような磁界が発生します。

この時、U字になっている内側の部分の磁界は下図のようになっていると見なせます。

この状態は、以下のように置き換えることができます。

ここで、
黒矢印がレール
青矢印が弾の後ろを流れる電流
赤矢印を磁界
とすると、フレミングの左手の法則に基づき、緑矢印で示した力が発生します。

この緑矢印がローレンツ力です。
この力を利用して弾を打ち出すのがレールガンです。

なんとなく、これで理解できたと思います。


材料
材料 値段 使用用途・備考
アクリル板(200×300×5mm) 1279円 レールガン本体(絶縁部)
アルミ板(100×290×1mm) 298円 レールガン本体(レール)
ネジ・ナット(M6×20mm 12本) 196円 レールガン本体(レールと絶縁部を固定するため)
コンデンサ(100μF 300V 24個) 0円 使い捨てカメラの物を流用
昇圧回路 0円 使い捨てカメラの昇圧回路を4並列
0円 発射スイッチ用
導線 0円
遠隔発射スイッチについては、7回目の実験の時に説明します。

製作

完成予想図はこんな感じです↓

簡単に作り方を説明すると、アクリル板とアルミ板を切って穴を空けて締め付けるだけです

実際に切って穴を空けてみると下のようになりました。

アルミ板の長さが29cmで給電端子の部分を確保すると、実際にレールとして使えるのは27cmほどです。
そのため、アクリル板の長さは4枚とも全て275mmになっています。
最初はアクリルカッターで削っていたのですか、それだと時間がかかりすぎるため糸鋸で切りました。
アクリル板の幅は狭い方が3cm、広い方が6cmです。
cmで書いたのは、私の加工精度の有効数字を考慮した結果です。
切断時に摩擦でアクリルが溶けて切りづらくなるので、こまめに冷却をします。(濡れぞうきんで冷やしました)

写真の奥の方に写っている銀色のやつがアルミ板です。こちらは2.5cm幅で切りました。
しかし、切っただけではレールにはなりません。アルミ板には表面に酸化被膜(アルマイト)があります。
このアルマイトは絶縁体のため電気を通しません。そのため、レールにするためにアルマイトを落とします。
アルマイトの落とし方としては、水酸化ナトリウム等の薬品を使うことが多いらしいです。
しかし、そんなものは家に無いので、ひたすら紙やすりで削りました

アルマイトが落ちると、表面の色が若干変化します。全体がそうなるまで削ります。(これが結構大変)

昇圧回路・コンデンサは前述の通り、できるだけ安く作るために使い捨てカメラを流用します。
土台も安くするために段ボールです。
発射スイッチは大電流に耐えるためにそこそこのものを使わなくてはいけないのですが、今回は釘を使いました。
釘の頭同士をぶつけるようにしてスイッチングをします。

これを見て「なんでこんな安っぽい面倒な物を作るの?」と思った方はいませんか?
場合によってはこれはいりません。
ただし、300V程度以上の電圧でで200A以上程度の電流容量が確保できる電源があればの話です。

コンデンサを使うことによって、短時間ならば大電流を確保することができます。
レールガンに電流が流れる時間は短時間のため、普通はコンデンサを使います。

写真の左上に伸びている白い線は、レールガンへの給電ケーブルです。
大電流が流れるため、本当はものすごく太いケーブルを使わなければいけないらしいです。
でも、今回は100J程度のため「大丈夫だろう」と判断しました。(たぶん、入力が数kJレベルたと吹っ飛ぶ)

コンデンサとレールガン本体の間にインダクタは入れません。
入れることによって放電時間を延ばせるらしいのですが、電解コンデンサだと意味が無いようです。
ただでさえ細いケーブルで抵抗があるのに、さらに抵抗を増やしたくないというのもあります。



実験

1回目 2013年6月2日

それでは実際に実験します。

今回はプロジェクタイル(弾)は無しで、動作するかどうかの確認です。

入力 250V 2400μF 75J
アーマチャ スチールウール
プロジェクタイル 無し

アーマチャというのは、プロジェクタイルの後方に置く導体のことです。
これに電気を流し、アーマチャにかかるローレンツ力でプロジェクタイルを押し出します。

今回はプロジェクタイル無しのため、ローレンツ力を確認できれば成功です。

いきなり300Vは怖くてできませんでした。


動画ではわかりませんが、発射時に予想以上の音がして、ビビりました。
2mぐらい離れてヘタレスイッチングをしたのは正解だったようです。

後方よりも前方から多くのプラズマが出ています。おそらく、ローレンツ力の影響でしょう。
動作確認・ローレンツ力の確認はできたので、1回目の実験は成功です。

電荷はどれくらい残るのが普通なのかわからないので、今後の結果を見て判断することにします。

結果をいろいろと分析している間に知ったのですが、オレンジ色に光っている物体はプラズマではなくスチールウールの燃えかすでした。プラズマはもっと炎に似たものだそうです。


実験後のレールです。煤のようなものが付着していますが、ティッシュで強めに拭くと取れました。
溶けたスチールウールも付いていますが、こすれば取れます。

2回目・3回目 6月3日


入力 300V 2400μF 108J
アーマチャ スチールウール
プロジェクタイル 無し

スチールウールの量は 2回目<1回目<3回目 となるようにしました。

学校から帰ってきてからの実験です。時間がなかったため、写真が少なくなっています。
今回から300Vで実験です。

2回目

残電圧 69V
3回目

残電圧 69V

電圧が上がったことによって、前回よりも発射音も大きくなりました。夜にやるのはやめた方がよさそうです。

アーマチャの量と残電圧はあまり関係ないようです。

4回目 6月18日

3回目と条件はほぼ同じですが、プロジェクタイルとして割り箸を入れてみました。

入力 300V 2400μF 108J
アーマチャ スチールウール
プロジェクタイル 割り箸

残電圧は70V プロジェクタイルは発射されませんでした。

5・6回目 6月30日・7月3日

アーマチャだけの実験も飽きてきたので、そろそろプロジェクタイルを作って、本格的に実験をしてみたいと思います。

プロジェクタイルは、1mm厚のアクリル板を積層して作り、5×5.5×10.5mmに成形しました。

  5回目 6回目
入力 300V 2400μF 108J 300V 2400μF 108J

結果はプロジェクタイルが中で数cm移動する程度でした。

完全なエネルギー不足です。

7回目 7月21日

エネルギーが足りなかったので、カメラ屋に行き、使い捨てカメラをもらってきました。
今まではコンデンサが24個でしたが、8個増量して32個になりました。
容量は3200μFになります。

入力 300V 3200μF 144J

結果は、中で10cm程度プロジェクタイルが移動する程度でした。

まだエネルギーが足りないようです。

8回目・9回目 7月21日

部活の関係で、そろそろ成功させないとならなくなってきました。

10cmしか移動しないのであれば、レール長を10cmにすれば発射できるのでは?
ということで、最初にセットする位置を先端から900mmのところにしました。

入力 300V 3200μF 144J

結果は、一応発射されました。が、威力はほぼ0です。

8回目(左)と9回目(右)

10回目 7月21日

威力を上げるためには、入力エネルギーを上げるしかない!
使い捨てカメラのコンデンサは、いままでは300Vで使っていましたが、もう少しあげられる気がしたので、320Vまで上げて使ってみました。

入力 320V 168μF 144J

結果

上の動画の通り、プロジェクタイルが発射されています。
また、下の定規を使って速度を求めることもできました。残電圧は73.1Vでした。

さっきの画像より、速度を求めると、5cmを5/220秒で通過したので5.5m/s
プロジェクタイルの質量は0.35g(アクリルの比重を1.2として計算)だから、運動エネルギーは0.00524J
入力エネルギーは168J、残ったエネルギーは14Jだから使用したエネルギーは154J
効率は0.0034%

はい。超低効率・超低威力ですね…
一応、プロジェクタイルを発射させ正確な値を求めることもできたので今回の実験はこれで終了です。


まとめ

レールガンは低予算でも作ることができる。
しかし、低予算だと入力エネルギーが限られるため威力を求めることは難しい。
また、プラズマアーマチャ式レールガンは、一般的ではあるものの低エネルギー向きではなかった。
威力を上げるためには、入力エネルギーを上げる以外にも効率を良くするということを考えなければならない。



予告

Poncotsuさんより、大容量コンデンサを低価格でいただくことができました。
また、ソリッドアーマチャ式オーグメントレールガンにすることにより、効率を高めることができるそうです。
ということで、レールガン2号機の実験および掲載、準備中です。


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